こんばんは、こゆきです。先日は学生時代のアルバイトのお話をしました。
勤労学生っていうよりフリーターのようでしたね。今日は大学を中退後就職した旅館のことをお話しします。タイトルでほぼネタバレしていますね。
大学を辞めてキャバクラも辞める
大学を辞めたら、キャバクラで働く意味がなくなりましたので夜の蝶からは足を洗いました。キャバ嬢って、接客している時だけじゃなくて昼間や夜でも営業のためにせっせとメールや電話をするんです。もちろん、営業しなくてもお客さんがくる優秀な方はいらっしゃると思うんですが、私は営業と当日の接客をセットにしなければ、集客できませんでした。

それに、お化粧やヘアセットにも時間がかかるし、自分みがきにもお金と時間をかけなければならない。そこまで時間とお金をかけて、トップ3に入れるほど集客できれば夢があります。でも、ほら私は顔があれだし、これといってすごい接客ができるわけではないので…… ナンバー1になったことはあるといっても、いいお客様が集中したまぐれ当たりみたいなものです。とてもじゃないですがキャバ嬢を生涯の仕事にする、覚悟と実力はありませんでした。
スキルなし学歴なし!の就職活動
大学を辞めてしまったのだから、正社員で働かなければなりません。といっても私には、何のスキルもありません。ホワイトカラーと呼ばれる仕事はすごく高いスキルが必要なんだと思っていました。でも、私はワードは扱えるけどエクセルは何もできないし、簿記の知識もないし経理のことも何にもわからない。だから、事務職は無理だと思ったんです。大学中退だし。

そこで思いついたのが仲居さん。ちょうど近所の大きな高級めの旅館が仲居さんを募集していたんです。高校の頃は、そこそこな規模の料亭でアルバイトをしたことがありましたし、大学時代も接客業。接客なら経験があるから雇ってもらえると思いました。
結果、即採用。翌日から旅館で働くことに。
幽霊の話が尽きない旅館
私が雇ってもらった旅館は、幽霊が出ます。出ますというか、仲居さんたちがよくそんな話をしていたんです。あそこの部屋は出るとか何か感じる、と。私は人一倍怖がりです。幽霊が怖すぎて、小学校の頃は一人で学校から帰る時、通学路を通る車をひたすら追いかけていました。
小学生の頃住んでいた家は、5階建てのアパートの5階で、1階が地下に潜っているから5階建てなのにエレベーターがないアパート。階段で家まで昇るわけですが、4階が怖いんです。
だって4は死人の4。小学生ってそういうのが怖いでしょ?毎日、階段を昇るたびにそれまで聞いたことがある、怖い話が脳内をエンドレスリピートしていました。
- テケテケ
- ダッシュババア
- 紫の鏡
- トイレの花子さん
それを打ち消すために、階段をダッシュで駆け上りながら必死に般若心経を唱えたものです。近所の人からすれば、むしろ私がホラーですよね。

話が逸れました。私が働いていた旅館の幽霊。まあ、幽霊が怖いといっても実際に見たことがありませんので、誰かと一緒にいる分には大丈夫。だから日々の業務の中では、幽霊は怖くありませんでした。というより幽霊が出ると噂されている部屋は日頃使われていないので、そこに行く心配はなかったんです。
満室=幽霊が出る部屋を使わざるを得ない
幽霊の部屋は、基本使わない。でも、満室になった時は躊躇なく使います。で、とある日、翌日使う部屋の確認をしていた仲居さんが、フロントに飛んでできたんです。
「やっぱり出るわよあの部屋!ドアが勝手に開いたのよ!!」
お客さんは寝静まり、従業員の人数も少ない夜間の旅館。それだけで、怖いのに、ベテランの仲居さんが「出たああ!」って言うんです。もう、旅館全体がお化け屋敷です。
でも、「ああよかった。私がその当番じゃなくてよかった」と胸をなでおろしました。その日はフロントの係だったから部屋に近づく必要はありません。男性の支配人も一緒だったから、幽霊が出てもどうにかなる気がしていました。
翌日、まさかのお花係を命じられる
幽霊部屋のチェックインは午後3時。私はお部屋案内係ではないので、幽霊部屋とは無縁だとタカをくくって、朝ごはん会場の片付けをしてから遅い朝ごはんを食べていました。すると女将がやってきて「今日はこゆきさんにお部屋のお花とポットをチェックする係をお願いするわ」と言うんです。
使うお部屋全てにお湯を入れたポットを届けて、お花が枯れてないかチェックする係。そう。「使うお部屋全て」。つまり、幽霊部屋に一人で行くことに!!!
もう目の前が真っ暗です。恐ろしくて心臓はばくばくします。4階の階段が怖かった私が、前日幽霊が出た部屋に一人で行くんですよ???
昼間の旅館は、夜よりも人がいません。お客さんはだーれもいない。大きな建物にほぼ私一人なんです。その状態で、一人でポットにお湯を詰めて全ての部屋に届ける……。
幽霊が出るお部屋は最上階の7階でした。1階から順番にポットを入れていきます。1階、2階、3階、4階……。
昇れば昇るほど怖くなります。4階からずっと手が震えていました。薄暗い幽霊の部屋に入ってポットを置いてお花を見てくるんですよ?戦慄迷宮以上に恐ろしいアトラクションです。

そして、とうとう6階。6階の全てお部屋を終えたら、おばけゾーンの7階に行かなければなりません。もう、無理でした。21歳の私には耐えられませんでした。
震える手でポットを床に落としてしまい、そのままエレベーターで1階まで降りて、女将に「実家の母が倒れたって連絡がありました!これから帰ります!」って嘘をついて職場を放棄したのです。
最低な職場放棄&退職
今思えば最低です。幽霊が怖いからといって、元気な母親を病気にして突然逃げ出し、辞めたのですから。その場を母の病気で乗り切っても、また幽霊部屋にポットを届ける仕事を命じられたら困るので、辞めるという選択肢しか頭にはありませんでした。
正社員前の試用期間ということでアルバイト扱いだったのが、唯一の救い。あの時の旅館の皆さんには本当にご迷惑をおかけしたと思います。
きっと私の代わりに誰かが幽霊のお部屋のお花を変えてポットを届けたはずです。本当に申し訳なかったなと思いました。今考えたら、どうしても幽霊部屋にはいけないからその仕事だけはできない、と言えばよかったんですよね。
いや、どうだろう。旅館で働くのにそんなわがままは許されるのかしら。とにかく、お化けは怖いですね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!また明日〜