日 刊 こ ゆ き
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台風後の損害保険会社は超絶多忙

こんばんは、こゆきです。
台風19号の接近に伴い、首都圏は大騒ぎですね。私も今週頭からお水やお茶、懐中電灯などを買い揃えています。

台風対策や被害予想などは専門家の皆様が十分語っておられますので、、私は損保勤務経験を元に、台風や地震などの大災害の後、損害保険会社のお仕事についてお話ししてみたいと思います。

自動車保険も火災保険も台風が来たら事故報告が殺到

自動車保険で車両保険に加入している場合(プランによる)は、台風による被害は保険金お支払いの対象になります。ですので、台風の通過後に大量の事故報告が舞い込みます。

・飛来物との衝突
・台風による水没

大切な車が台風で傷ついてしまった、水没して走行できなくなったなどの事故が多数寄せられて、事故処理をする保険金支払い部署は大わらわです。

火災保険はもっと悲惨。「屋根瓦が飛んだ」、「壁に穴が空いた」、「浸水した!」などの惨劇が寄せられてパンク状態に。

そもそも、契約者様からの「事故報告」は、ほとんどがコールセンターに集約されています。私たち保険金支払い部署の社員は、コールセンターのスタッフがヒアリングしてくれた内容がまとめられた事故受付書を確認して、関係各所に連絡を取り保険金支払い手続きや示談交渉を進めます。

台風の場合は、通過中よりも通過後に大量に事故報告が押し寄せ、事故受付書が私たちの机の上を埋めつくし地獄絵図。いつもは毎日平均4件ほどの新規案件が来るところを、出社した瞬間に20件並んでいたこともありました。

「雪が降る」
「台風が来る」

などのニュースには、戦々恐々として夜も眠れないほど怯えていたものです。

災害時は全国から助っ人が駆けつける

いざという時に頼りになるはずの保険会社がパンク状態では意味がありませんので、ある程度大きな台風で事故件数が多ければ、迅速に全国各地から助っ人が召喚されます。

若い総合職の男性、ベテランアジャスター、ベテラン一般職(怖いほどに仕事ができる)などが、呼び寄せられて災害対策本部的なものが立ち上げられるのです。全員、保険金支払い処理に長けていますので、サクサクサクサク業務が遂行されます。

ちなみに、受け入れ側の被災地のスタッフは、シンゴジラのように、予備のパソコンや電話を調達して設置するので大忙し。

3.11の時はアジャスターが建物を鑑定した

ある程度局地的な災害であれば、上記の対策で保険金支払いを乗り切れます。しかし、日本の大半が大きな被害を受けるような大災害では、専門スタッフだけではとてもじゃありませんが、保険金支払い業務は行えません。外部の調査会社に依頼しても焼け石に水。

3.11の際は、全国から被災地に「火災保険が専門外のスタッフ」まで派遣されて地震保険の支払い処理に当たりました。

なんと、車の鑑定を専門とするアジャスターまで建物の鑑定のために全国各地に派遣されていたんです。ちなみに、地震保険の建物鑑定は火災保険ほど難しくなく、被害判定が4通りしかありません。判定基準も明確化されており誰でも一通りの知識があればできるものなので、アジャスターが鑑定したからと言って契約者様に不利益な生じることはありません。

とはいえ、いつも「このバンパーは修理できる!」とか「事故との整合性がないからこの傷は認定できぬ!」などと言っているアジャスターさんが、建物を鑑定して回っているのは衝撃であり、ちょっと滑稽でもありました。

助っ人要員は全国の天気予報や災害情報に超敏感

いつも助っ人として召喚される社員たちは、自分が住んでいる地域の天気予報と同じように、全国の気象情報や災害情報に目を光らせています。

「東京で大雪」と聞けば、前日の夜に荷造りを始める人もいるほどです。今回の台風の場合は、想像ですが今週頭から対策が練られ、すでに増員体制が構築されていると思います。千葉県などの前回の被害が多かった地域では、重点的に人員が配置されるはずです。

事故を受け付けるコールセンタースタッフ、事故処理に当たる保険金支払い部署共に万全の体制を整えて契約者様からの事故報告を待ち受けていることでしょう。

こんな状態でしたので、損保勤務中はとにかく雪が大嫌い。私が働いていた地域は、冬はそこそこ雪が降ります。そして雪が降ると交通事故が急増します。スタッドレスは全員履いている地域ですが、雪が降った翌日は通常比5倍くらいの事故が起きる。

滑って追突した。滑って田んぼに落ちた。滑って河原に落ちた。滑って赤信号無視した。滑って一時停止できなかった。

思い出すだけでも身震いしてしまいます。

今回の台風では、騒いだ割に大きな被害が出ず、準備をした私たちも保険会社も「騒ぎすぎたね!」って言えるといいんですが。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました!